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大原 高志
日本結晶学会誌, 56(5), p.301 - 306, 2014/10
近年、茨城県東海村に建設されたJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)は陽子加速器による核破砕反応を利用した大強度パルス中性子実験施設であり、2008年からiBIX、2012年からSENJUという2台の単結晶回折計がそれぞれ稼働を開始した。これらの回折計ではパルス中性子の特徴を利用したtime-of-flight(TOF) Laue法によって広い逆空間を一度にスキャンできるため、J-PARCの大強度中性子と相まって従来に比べて小さい0.5mm角程度の単結晶試料を用いた測定が現実的なビームタイムで可能となった。加えて、SENJUでは極低温(4K)や磁場(7T)環境下での測定が可能であり、高温や高圧、電場といった様々な試料環境の整備も進めている。これにより、これまで結晶サイズの問題から測定を諦めざるを得なかった様々な機能性有機・有機金属結晶の単結晶中性子構造解析を、その機能が発現する環境下で実現できると期待される。
大原 高志
no journal, ,
近年、茨城県東海村に建設されたJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)は陽子加速器による核破砕反応を利用した大強度パルス中性子実験施設であり、2008年からiBIX、2012年からSENJUという2台の単結晶回折計がそれぞれ稼働を開始した。これらの回折計ではパルス中性子の特徴を利用したtime-of-flight (TOF) Laue法によって広い逆空間を一度にスキャンできるため、J-PARCの大強度中性子と相まって従来に比べて小さい0.5mm角程度の単結晶試料を用いた測定が現実的なビームタイムで可能となった。加えて、SENJUでは極低温(4K)や磁場(7T)環境下での測定が可能であり、高温や高圧、電場といった様々な試料環境の整備も進めている。これにより、これまで結晶サイズの問題から測定を諦めざるを得なかった様々な機能性有機・有機金属結晶の単結晶中性子構造解析を、その機能が発現する環境下で実現できると期待される。
中村 彰夫*
no journal, ,
標記国際会議(ICFM2-15)において招待講演を行う。上記標題に要約された発表内容を少し詳しく下にまとめる: 20世紀初頭カール・ワグナーにより創始されその後多くの物理化学者の努力により発展してきたいわゆる、点欠陥化学は、金属、合金さらには酸化物等の多くの化合物における電子的、原子的欠陥の関与する様々の物理化学的性質(表面及び固相反応、半導性、不定比性、拡散現象等)を解明する有力な理論モデルとして活用されてきたが、基本的には孤立した"点"としての欠陥という希薄溶液近似の概念に基づくものであり、ここで問題とする蛍石型酸化物固溶体系のようないわゆる高濃度欠陥系にはうまく適用できないという限界も露呈している。そこで、その次のステップとして"一定の空間的な広がりを持ち且互いに強く相互作用しあう"より現実的な"拡張された欠陥"の化学の必要性が従来より指摘されその構築に向けた努力も続けられてきたが、正直、めぼしい成果は上がっていない。筆者は近年、この錯綜した状況を打破すべく、一つの新しい欠陥結晶化学(defect crystal chemistry)モデルを提唱し、従来説明の困難であったこれら蛍石型酸化物固溶体等の高濃度欠陥系の示す複雑で(多分)相互関連した物理化学的性質(例えば、顕著な非べガード性、イオン伝導度の極大現象、特異な欠陥熱力学的挙動など)を統一的、包括的に記述することに(かなりの程度)成功した。本講演では、これらの成果をその将来展望をも含めて発表したい。
大原 高志
no journal, ,
本発表は日本結晶学会賞学術賞の受賞講演である。日本国内では1990年代末からJRR-3研究用原子炉を中心に単結晶中性子回折計の開発が進み、金属錯体など格子体積の比較的大きい分子性結晶における水素原子の観察が現実的になるとともに、より大強度の中性子源であるJ-PARCの建設が始まった。このような千載一遇の機会の中、筆者は単結晶中性子回折計の開発と並行して、単結晶中性子構造解析による分子性結晶中の水素原子の確実な観察を基にした研究を展開してきた。本講演では、これらの水素原子が鍵となる研究について概説する。